業界を知る2024年6月27日
物流2024年問題解決への糸口。
エクステンドが鮮度保持の常識を変える
政府が主導している働き方改革により生じる「物流2024年問題」。物流量が大幅に減ることにより、鮮度が重要で扱いの難しい生鮮食品分野では、鮮度保持袋を用いて青果輸送を効率化する試みが注目されています。
物流2024年問題が与える青果への影響
働き方改革関連法により、2024年4月以降、トラックドライバーの時間外労働時間の上限が変更されたことが問題視されています。年間時間外労働時間の上限が20%縮小されるうえ、ドライバーの拘束時間が1日13時間(最大15時間)に制限されることになり、過剰労働の抑制のためとはいえ、物流をトラックに依存している日本では、各業界で激震が走っています。
特に農産物の輸送はトラックによる陸路輸送が大半を占めており、「農水産品」輸送のドライバーの拘束時間は13時間を超える割合が全体の39.2%と、他の品目より高い比率となっているのが現状です。
これは、農産物の大規模生産地が消費地である都市部から遠く輸送時間が長くなりがちなことに加え、生産地側で積載効率低下を嫌いパレット利用が進まず、手積み手下ろしなどの手荷役作業が多いこともドライバーの拘束時間に影響しています。
このように、従来の農産物の輸送はドライバーの長い拘束時間と重労働が支えてきました。ドライバーの労働時間が縮小されることにより、安定的な輸送手段の確保が困難になることが予想され、喫緊の対策が求められています。中継輸送やモーダルシフトなどがその対策として挙がっていますが、それらは結果的に輸送にこれまで以上の時間を要することになり、着荷時点での農作物の鮮度への影響は避けられません。輸送中の鮮度保持は、生産者にとっても販売店にとってもこれまで以上に大きな課題となっているのです。
リードタイムのカギは鮮度保持袋
エクステンドの導入で効率性を上げる
農産物の輸送問題が深刻化する一方で、消費者のニーズはますます鮮度重視の傾向が強くなっています。消費者が鮮度を重視すると少量の青果を頻度高く買うことになり、小売店では少量多品種を取り揃える必要がありますが、コストへの影響を考えると、輸送時の梱包形態の変更を検討することも難しいのが現状です。結果として、リードタイムが延び、「採れたて・新鮮」などの売り文句も難しくなるでしょう。
そこで求められるのが、青果の鮮度を保持する技術です。特に年々ニーズが高まっているのが鮮度保持袋の「エクステンド」。これを農産物の輸送に導入することで、リードタイム長期化の問題を解決しようという試みが検討されています。
鮮度保持袋の「エクステンド」とは、野菜や果物をはじめとする生鮮食品の長期貯蔵を実現する、高機能鮮度保持包材です。青果は収穫後も生命活動が続くため、二酸化炭素と水を放出する呼吸と、余剰水分を放出する蒸散を繰り返すため、それが青果の鮮度の劣化の要因となります。その呼吸と蒸散を、フィルムに包んでコントロールするのがエクステンドです。青果の貯蔵に最適なガス組成を維持するとともに、水蒸気の透過率を調整したフィルムで包装するため、貯蔵寿命を1.5〜2倍に延長できるとされています。食品加工業やスーパーなどの小売、さらには飲食チェーンのセントラルキッチンにおいてもニーズが高まっている包材ですが、これを青果の物流に導入することで、リードタイムが長くなっても一定の鮮度を維持することが可能となります。
保冷発泡スチロールから鮮度保持袋へ
新たな輸送方法で物流問題をクリア
鮮度保持袋エクステンドは、イスラエルの企業であるStePac社で開発され、すでに世界中のフードビジネスにおいて採用されている実績のある商品です。国内では、9月から10月頃が旬のシャインマスカットを、エクステンドを導入したことで長寿命化し、従来のクリスマスシーズンを超えて、旧正月や春先まで出荷可能になった事例で注目を集めました(※1)。さらに、通常冬には流通しない北海道産のメロンにおいても、エクステンドの採用によって、クリスマス需要や冬の観光シーズンである11月‐12月に販売可能になりました(※2)。
このような実績から、国内では主に高級フルーツのブランドに貢献してきたエクステンドですが、これを物流問題のカギとするべく、導入を検討する生産者が増えているのです。
具体的には、これまで保冷保温に適した発泡スチロール箱に詰めて輸送されるのが一般的だった、ブロッコリーやアスパラガスといった青果をエクステンドに詰め、それを折り畳みコンテナに収納して輸送するという方法への切り替えです。エクステンドは大型コンテナ用内袋も取り揃えているため、青果の特徴に適した梱包が可能です。
これにより青果を長寿命化することでき、輸送のリードタイムが延長しても新鮮な農産物を消費者へ提供することができます。また、使い捨てしていた大量の発泡スチロール箱の処分もなくなり、近年問題視されている廃プラ問題の解消にもつながります。エクステンドはサステナブルな青果輸送をサポートするアイテムなのです。
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