素材を知る2025年3月12日
「8年経っても劣化がない」
ユーザーが語る土木用シリコーンシーリング材の実力とは

国を挙げてインフラの長寿命化への取り組みが進む中、土木工事の現場では、従来の有機系シーリング材からシリコーンシーリング材へとシフトする事例が増加しています。岩手県盛岡市で公共インフラ補修工事をメイン事業として営む株式会社doorsでは、現在のように注目される以前からダウ・東レのシリコーンシーリング材を採用してきました。その理由について、株式会社doorsの代表取締役 櫛引紀充さんにお話を伺ってきました。
ダウ・東レのシリコーンシーリング材を採用した理由
ーまずはダウ・東レのシリコーンシーリング材を採用するに至った経緯を教えてください。
櫛引さん(以降、敬称略):当社は東北地方を中心にインフラの補修工事を多く行っています。ダウ・東レのシリコーンシーリング材は、主に排水路や農業用水路の目地の充填剤として使用しており、「DOWSIL™ SE 990 INFRA 2成分形アルコール型」と「DOWSIL™ SE 980 A 1成分形アルコール型」の2種類を採用しています。こちらの製品が日本で販売を開始した2016年くらいから使用しているのですが、当時は水路の補修には農水省の保証規格に則ったものを使う必要があったんですね。そのため、シリコーンシーリング材の耐候性の高さはよく知っていたのですが、当製品に出会う前はウレタン系のものを主に使用していました。そんななか三井物産プラスチックさんから、規格に則ったダウ・東レのシリコーンシーリング材があると提案してもらい、採用することにしました。
ーもともとシリコーンシーリング材の良さについて熟知されていたとのことですが、工事現場ではどのような違いがあるのでしょうか。
櫛引:私がインフラ工事に携わったのは1997年からなのですが、当時は今のような規格はなく、ウレタン系でもシリコーン系でもよかったので、各地で色々な種類のシーリング材が使われていました。水路が漏水しているから治してほしいという依頼があると、水路に沿って歩きながらずっと目地を見ていくのですが、有機系材料のものだと耐候性が弱いので、しわしわになり痩せていってたんですね。一方でシリコーンシーリング材だと耐候性が強く、表面はパリッとしている。それぞれ特徴があるんです。こんなふうにずっと色々な水路を見ていくと、耐候性が一番いいのがシリコーンシーリング材だったんですよ。そもそも建築用として100年以上も歴史がありますしね。最近は土木用のウレタン系シーリング材も開発されてはいるんですけれど、やっぱり耐候性が弱い。シリコーンシーリング材だと引っ張っても弾性があって、能力を発揮できるんです。それで、シリコーンシーリング材でいいものがないかなと思っていたときに、辿り着いたのがダウ・東レの「DOWSIL™ SE 980 A 1成分形アルコール型」でした。その後、先ほど申し上げたように農水省の規格ができたのですが、この製品はすでに規格適合品になっていたので、問題なく使い続けているというわけです。
ー8年も前からダウ・東レのシリコーンシーリング材を使用されているとのことですが、当時工事した現場を見に行かれたことはありますか?
櫛引:昨年春に以前の施工現場を見に行ったのですが、8年経ってもまったく劣化が感じられなかったです。機能的にも、見た目的にも。他の材料だと、8年も経つとひび割れたり縮んだり、何かしらの変化が出ることが多いんですけれど。
低温でも固まるから寒いエリアでも短工期に
ー耐候性の強さ以外に、シリコーンシーリング材にはどんな特徴がありますか。
櫛引:他にはないのが、硬化時の特徴です。東北地方なんかは寒いエリアで施工するので、シーリング材の固まりの遅さが問題になります。でも「シリコーンシーリング材」だと温度が高い・低い関係なしに固まるんです。だから短い工期が見込めるというのが、一番の特徴です。それから、冬場はシーリング材が固まって打ち出しにくいことがあり、シーリング材の缶を湯煎して柔らかくすることもあるんですが、結局硬くて打てないということも結構ある。シーリング材は何千本と打つので、硬いと腱鞘炎になってつらい。でも「DOWSIL™ SE 980 A 1成分形アルコール型」はそういうこともないので、それも使いやすさのひとつですね。農水路は農業の閑散期、つまり気温が低い時期にやらざるを得ないのですが、固まりが遅いとどんどん工期が伸びてしまうので、固まりの速さは重要な要素になります。
ー固まったあとの伸縮性については、いかがですか。
櫛引:私はこの製品の伸縮性テストに立ち会わせてもらったのですが、これほど剝がれない商材は今まで見たことがなかったです。そのテストというのが、コンクリート二次製品にシリコーンシーリング材を付着させて引っ張るというテストなんですが、伸縮性が強いせいで、なんと先にコンクリート二次製品の方が壊れてしまったんです。テストはその時点で終了だったので、実際どこまで切れないのかはわからなかったのですが、それほどの能力があるということですよね。不同沈下(建物の重みによって地盤が不均一に沈下したり滑り出したりする現象)の場所で水路を引いた場合、水路がよく動いてしまいますが、そんな場所であってもこのシリコーンシーリング材ならどこまでも追従するんじゃないかと思いました。水路は何百トンと水が流れますから、シーリング材はそれに耐えうる硬さと伸びのバランスが取れているのがポイントになりますね。柔らかすぎても水圧に負けてしまうので。
良い材料を使って良い仕事をして、施主さんに喜んでもらいたい
ーシリコーンシーリング材はこれほど使いやすい製品なので建築業界では一般的ですが、土木業界では広がり始めたばかりです。こちらはなぜだと思いますか。
櫛引:シリコーンシーリング材って、固まるのが早い分、表面に膜が張りやすいので、もう一度撫でて再度仕上げるのが難しいんですね。なので、二名体制で塗る者と撫でる者とで急いでやらないといけない。もしかしたら、使いにくいというイメージはそこから来ているのかもしれません。ただ、「DOWSIL™ SE 980 A 1成分形アルコール型」はそこが絶妙なんですよ。確かに固まるのは速いんですが、再度撫でて仕上げることができるのが、他とちょっとちがうところです。これは実際に使ってみると実感できる、微妙な差異ですね。
ーシリコーンシーリング材は有機系シリコーンシーリング材よりもコストがかかるイメージがあるようなのですが、その点はいかがでしょうか。
櫛引:弊社で購入している商材としては比較的安い方じゃないかな。当然もっと安いものはあるんですけど、そこは大切なお客様にすすめるものなので、当然今まで一番多く使ってきて、良いものだとわかっているものをご提案したい。他の製品と比べて極端に高いというわけではないし、コストよりは品質を重視しています。昔はシリコーンシーリング材ってすごく高いイメージでしたが、いまは全体的に他の材料も値段が上がってきたので、差がなくなってきているというのもあると思います。なにより弊社では長く使ってきた実績もあるので、これからも使っていきたいですね。良い材料を使って良い仕事をして、施主さんに喜んでもらいたいので。
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株式会社doors
地元盛岡を中心に、公共インフラ補修工事を行う。さらにレストラン事業、エステ事業、トレーニングジム事業なども幅広く展開。盛岡から全国展開を目指している。